2013年8月28日

浅葱色に染める -藍の生葉染め体験-

8月24日、県民の森では藍の生葉染め体験が行われました。

まずは藍について先生から説明。


県民の森では4月に開催した草木染め体験の時に参加者のみなさんと藍を植え、今まで育ててきました。「藍染め」はよく耳にしますが、「生葉染め」とはめずらしい。これも藍を育ててきたからこそできる染め方ですね。


それでは、まず大切な材料集め。みんなで藍を刈りに行きましょう!


腰の高さほどによく育った藍。子供たちも鎌を使い、藍を刈ってくれました。


みんなで作業をするとあっという間!藍がどんどん山盛りになっていきます。



そして、藍を刈り取ると飛び出す虫を狙って、頭の上はトンボの群れが…
虫たちはよく知っているなぁと感心。


藍をふれあいの館に持ち帰ると、さっそく下ごしらえ。
葉っぱに色素があるので、葉っぱだけをはずします。



 きれいな緑色の葉っぱ。
これで色が染まるなんて不思議だなぁ。


水で洗ったら、下ごしらえ完成!


それでは、さっそくハンカチを染めていきましょう…
今回は2種類の染めをしていきます。


まずは「たたき染め」


藍の上にハンカチを置いて、木槌でトントン!


そうすると…


葉っぱの模様が浮き上がり、可愛い模様が作れちゃう♪



このたたき染めに、子どもたちは夢中の様子!
たたくだけなので、小さな子どもさんでも自分だけの模様をつくることができました。

 
完成☆


さて、つぎはメインの生葉染め!
葉っぱを塩で揉んで、青汁をつくります…が、これがけっこう力仕事。
親子で協力して作業をする姿が見られました。




やっと青汁が出てきました。
ハンカチ投入ー!



揉みながらよーく汁に浸して、時々引き上げては空気に触れさせます。



すると…




ハンカチがだんだん浅葱色に!
「わー!不思議!」と驚くみなさん。
若草色から空色へ…変化していくどの色も、変わってしまうのがもったいないと感じるほどの綺麗な色でした。

2、3回繰り返して染めは完成!



でもまだまだ!水で洗う間も酸化して色は変わっていきます。面白い!



染めが終わった方から順に、教室に干していくと…


並んだ作品がのれんのようで可愛い!


最後は恒例の記念写真で「はい、チーズ♪」


それぞれに個性溢れるハンカチと皆さんの笑顔☆とても楽しい時間でした。
今回参加者の中には、藍の苗植えから参加して下さった方もみえ、生葉染めの色の美しさには嬉しさもひとしおだったのではないでしょうか。


さて、次は「秋色を染める」も開催予定です!
みなさまお楽しみに。


2013年8月23日

繭から出たのは…

8月も後半。

暑い日が続きますが、森ではツクツクボウシの鳴き声とともにアキノタムラソウ、ヒヨドリバナが咲き始め、少しづつ秋の準備を始めている様子。

そんな中、展示館で飼育していた繭からはつぎつぎと蛾たちが羽化を始めました。
飼育の様子はこちら

うす緑色のきれいな繭から出てきたのは…

ヤママユ。

大きさは15センチくらい。胴体もぷっくりフカフカしています。
ヤマブキの様な黄色がとてもきれいですね。無事羽化できてよかった…

図鑑によるとオス、メスの見分けは触角だそう。
オスはメスを探すために櫛型の大きな触角をしているが、メスは細いとのこと。
この子はすっとした触角だったので女の子かな…?



 黄色い羽根に蛇の目模様が特徴です。


そして、同じヤママユガ科の大型の蛾、シンジュサンも羽化をしました。

連れてきた時はもう終齢幼虫だったシンジュサン。


水色のトゲトゲと黄色い脚が特徴的。

数日後にはまゆごもり。


葉っぱに沿ったかたちの繭ができあがりました。糸は白っぽいです。
シンジュサンもヤママユ同様、野生の蚕。
ですが繭の様子は種類によってだいぶ違うんですね。


成虫はというと…


茶色の羽の白いすじが特徴。


羽は良く見ると細かい毛が密集していて、絨毯みたいです。

やわらかそう。


蛾というと、それだけで苦手な方もみえるかもしれません。
でも、知れば知るほど蝶とはまた違った魅力があり綺麗です。


触角の形や、ちょっと間の抜けた顔もかわいらしい。

その他には水色の羽が美しいオオミズアオも展示館から飛び立っていきました。
ヤママユもシンジュサンもオオミズアオも、ヤママユガ科の仲間たち。成虫は口が退化しており、幼虫の時に蓄えた栄養のみで生きます。大きな蛾たちが過ごす短い夏…


毒はないので、機会があったら近くで観察してみて下さいね。

真夏のトンボ観察会

8月4日に開催されたトンボ観察会。

講師は「海蔵川探検隊うみくら」の川瀬先生です。
虫の中で一番飛ぶのが上手なトンボなだけに捕まえるのは大変だけど、頑張っていろんな種類を見てみよう!


まずは広場で赤とんぼの仲間を探します。



赤トンボのなかまは少なかったけど、シオカラトンボをゲット!


そのまま目的地のトンボ池を目指します。

トンボ池ではたくさんのトンボが飛び交っていました。
さあ、どんな種類が捕れるのか挑戦だ!

トンボが飛んでくるタイミングに合わせて網を「えいやぁっ!」

うまく捕れたかな?

池の上を飛び回っているだけでなく、まわりの草むらにもトンボはとまっていたりします。

よーく探してみると…

小さいけど、鮮やかな黄色がきれいなキイトトンボをゲット!

ギンヤンマの様な大きなトンボもぐるぐると池の上を旋回していますが、さすが大物、なかなか捕れません。

みんなで橋の上で待ち伏せ中。


そんなこんなで、どんなトンボたちが捕れたのか見てみよう。

今日採れた一番の大物、オニヤンマとコオニヤンマ。

黄色と黒の大きな体はよく似ていますが、見分けのポイントは目(複眼)のくっつき方。
奥のオニヤンマは目がくっついていますが、手前のコオニヤンマは目が離れています。
この写真で分かるかな?
この二種類、トンボの中では違うグループの仲間なんですが、「名前のせいでまぎらわしいですよね~」と川瀬先生も笑顔。
こうして並べて見比べるとよく分かりますね。


ふれあいの館に戻ったら、今日のトンボをまとめます。

今回捕れたのははちょっと少なめの5種類。他にもギンヤンマやコシアキトンボなど、見れたけど捕れなかったトンボもいました。

最後に、これからの季節、たくさん見ることができる赤とんぼの仲間について、川瀬先生からお話がありました。

昔は赤とんぼの代名詞だったアキアカネも、稲作のしかたの変化などが原因で、絶滅するのでは?といわれるまでに減ってしまっているのだとか。

今年の御在所山頂のアキアカネは例年よりも多いらしいので、このまま順調に増えていってくれればと願わずにはいられません。

9月には御在所山頂でマーキングされたトンボを県民の森で見つけるイベントも開催します。
トンボ捕りをするだけでも楽しいので、ぜひ皆さんご参加ください。

真夏の太陽の下で、トンボを追いかけて走りまわった参加者の皆さん、川瀬先生、ありがとうございました!

2013年8月4日

夜の虫取り―ライトトラップに挑戦!

夏休みの楽しみといえば、やっぱり虫取り!


ということで、県民の森では7月27日、三重昆虫談話会の生川先生をお招きし、ライトトラップを開催しました。
ライトトラップとは光に集まる習性を利用して虫を捕まえるトラップのことです。


ふれあいの館の近くに2か所のトラップを設置。


暗くなってくると少しづつ虫達が集まってきます。
広場に面しているトラップにはフンコロガシの仲間、カドマルエンマコガネがたくさん。



一方、林の中のトラップにはアブラゼミが集合して大騒ぎ。
うるさくて先生の説明が聞こえない(笑)



先生によると、飛ぶのが下手なカブトやクワガタはライトに直接来るよりも、近くの木にとまっていたり、地面に落ちていたりするとのこと。
懐中電灯でしっかり照らしながら、木の枝先まで探します。


カブトムシとまではいかなくても、コクワガタやカミキリムシ、羽化しかけのセミがいたり…
白い体が美しい!


普段なかなか夜に森の中に入って観察なんてしないだけに発見がいろいろですね。


ライトに集まる虫が落ち着いてきたところで、となりの「冒険の森」にある樹液の出ている木に虫達が集まっているかも?と、夜の森探検に出発!



途中の森の中にもライトトラップをしかけてあります。


木の上にモリアオガエル、そしてノコギリクワガタを発見、「落とせ落とせ」と盛りあがります。



数は少ないですが、カブトやクワガタもしっかりゲットできました。


これはなかなか立派なウスバカミキリ。

大きなカミキリムシはカブクワ同様に迫力があってかっこいいですね。



教室に戻ってからは先生のまとめです。

先生いわく「ライトトラップはいろいろな気象条件に左右されるので、『やってよかった』と思えるときはとても少ない」とのこと。

県民の森でも今までほとんどやったことがないので、設置する場所や時期など今後も研究の余地がありますね~。



実はこのライトトラップ、非常に人気があり、定員がすぐに埋まってしまったため、前後の土日も「お気軽編」としてスタッフのみでライトトラップを実施していたのでした。

その時もやっぱりカブトムシやクワガタ三昧とはいかず、それを期待してこられた方はちょっと残念だったかも…(汗)



でもその分、普段見ることがない虫や、あまり気にしない虫たちにも注目してもらえたのではないでしょうか。

また参加者からは「夜の森を探検気分で歩くだけでも面白い」という声も。




夏休みの一大イベント、「夜の森の虫取り」ですが、今回の結果も参考に、ぜひまた来年挑戦しようと思います。